【授業の主題と内容】
本講義では、教育や学習を支援するシステムの具体的事例を学ぶことを通して、各種システムの設計や機能が、どのように教育・学習を支援しているのか、またその背後にある学習観を学びます。
コンピュータやネットワークを活用して、教育・学習過程を支援する様々な取り組みは、半世紀にわたって行われてきました。最近では、WebサービスやNintendo DSのソフトウェアとして、世の中で広く利用されるようになってきています。
この講義では、さまざまな教育支援情報システムを受講者が体験して、特徴の説明とともにデモンストレーション(あるいはビデオデモ)をしてもらいます。また、資料を読み、その内容について報告してもらいます。その後、報告をもとにクラスでディスカッションする活動を通して、教育支援システムの学習支援原理やシステムの効用と限界について考えていきます。
こうした学習活動を通じて、どのように情報システムを教育・学習支援に応用すればよいのかを考えることができる素地を身につけることが目標です。
【履修にあたって】
この授業では、履修者ひとりひとりの学びが定着するように、皆さん自身が皆さんのために学ぶ構成をとっています。すなわち、学生の皆さんによる発表をもとに、討論をするという形式です(もともと「〜論」という授業は、そういう意味合いのものです)。したがって、皆さんの発表の内容、および質疑応答の真剣さによって、皆さんが学ぶ内容や質が左右されます。その意味では、きわめてハイリスクの授業です。
この科目は選択科目ですから、以下の点を十分に踏まえて履修してください。
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担当講師は、この授業に参加しようとする皆さんが、ともに学び、ともに真剣に考えたいと願っていることを信じて、授業を進めていきます。
2時限目の授業に出るために朝起きられない方は、この授業への参加には向いていませんので、よく熟考した上で履修してください。遅刻に対しては、過年度履修者から学習の阻害になるという意見を多くいただきました。15分以上の遅刻は欠席と同等に扱います。また、発表担当時の遅刻は15分未満でも欠席と同等に扱います。
実習のためにNintendo DSやパソコンを持参することをお願いすることがありますが、履修者どうしでシェアできれば、必ずしも所持していなくてもかまいません。
さまざまな教育支援システムを体験するために、授業場所を頻繁に変更しますので、シラバスの他、Renandiやポータルの掲示に注意してください。
【授業計画】
履修希望票の記入状況などにより、一部内容を変更することがあります。
日時 | 内容 | 提出物等 |
9/21 |
オリエンテーション
【配布物】シラバス/履修希望票/リフレクションシート |
全員 履修希望票 リフレクションシート(以後、毎回) |
9/28 |
デジタル教材の歴史と学習環境デザイン論
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テーマ1担当者 準備状況報告 |
10/5 |
【テーマ1】CAI(学習体験編)
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10/12 |
【テーマ1】CAI(理論編)
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テーマ2担当者 準備状況報告 |
10/19 |
【テーマ2】LEGO Mindstorm(学習体験編)
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全員 テーマ1レポート |
10/26 |
【テーマ2】LEGO Mindstorm(理論編)
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テーマ3担当者 準備状況報告 |
11/2 | 鳳祭のため休講(予定) | |
11/9 |
【テーマ3】マルチメディア教材(体験編)
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全員 テーマ2レポート |
11/16 |
【テーマ3】マルチメディア人体(理論編)
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テーマ4担当者 準備状況報告 |
11/23 | 勤労感謝の日のため休講 | |
11/30 | ゲストレクチャー(予定) |
全員 テーマ3レポート |
12/7 |
【テーマ4】シリアスゲーム(体験編)
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12/14 |
【テーマ4】シリアスゲーム(理論編)
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12/21 |
【テーマ5】モバイル・ユビキタス学習(理論編)
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全員 テーマ4レポート |
1/11 |
個人プロジェクトのプレゼンテーション
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全員 テーマ5レポート 授業評価 |
1/18 | (講義は、ありません) |
全員 個人プロジェクト 最終レポート+ 授業改善案 |
【授業の進め方】
第3回以降の授業は、各テーマを担当する「ナビゲータ」が主導するカタチで、おおよそ次のサイクルで進みます。
- 各テーマで、実際に教材を使って体験を行う
- 最初に、担当学生からテーマ教材の教育支援システムとしての特徴を紹介デモ(15分)
- テーマ教材の教育支援システムとしての特徴を分かりやすく紹介デモする(デジタルカメラなどで撮影したビデオなどを利用するのも可)。
- 1人1人が紹介のために、教材の特徴を熟知しておく必要があります(各グループへ散らばって発表します)。
- 特徴を捉えるためには、しっかりと準備しておく必要がある。
- 各グループで、教材を使ってみる(30分)
- ふりかえりのディスカッション(20分)
- 講師によるラップアップ(15分)
- 最初に、担当学生からテーマ教材の教育支援システムとしての特徴を紹介デモ(15分)
- 各テーマで、30分程度の背景思想や歴史に関する学習
- 各テーマの「ナビゲータ」によるプレゼンテーション(30分)
- プレゼンテーションは、クラス全体に向けてではなく、各ナビゲータがちらばって、各グループに対して実施する。したがって、内容についてグループ全員が熟知している必要があります。
- 質疑応答に向けたディスカッションを行う(20分)
- 質疑応答(20分)
- 講師によるラップアップと補足(20分)
- 各テーマの「ナビゲータ」によるプレゼンテーション(30分)
- 最後に、学習したことと、自らの考えを小レポートにまとめる。
※発表のための配布物を必ず準備し、準備状況報告の際に、必ず担当講師のチェックを受けること。
※配布物は、直近の日曜日24:00までにRenandiにて提出し、印刷依頼すること。
【成績評価の方法と基準、課題提出日と方法】
※5回以上欠席した場合、理由の如何を問わず(伝染病感染を含む)、成績評価の対象としません。
- グループ・プレゼンテーション(30%)
- プレゼンテーションの配付資料等は、PDFにしたものをRenandiの掲示板にアップロードすること(授業日の23:59まで)。
- 授業時間内に答えられなかった質問には、調べた上で、掲示板上で回答すること。
- 相互評価(学生70%、担当教員30%):4つの基準で評価します。
- 内容が興味深いか
- 簡潔にわかりやすく説明されたか
- 学習理論とテーマ教材との関連が明確に理解できたか
- 質疑応答にしっかり答えていたか
- テーマ別レポート(30%)
- 各テーマに関する学習内容について小レポート(それぞれ、A4で1枚)
- 個人学期末レポートA(個人プロジェクト)(30%)
- A4で3枚以内 →2011年1月18日までに、Renandiで提出
- 授業内容を踏まえた、あたらしいオリジナルの教育支援情報システムを企画する。
- 学習支援原理と、期待される効果について明記する
- 1/11 ポスターセッションにより発表し、助言を受けて修正したものを提出する。
- ポスターセッションの評価:10%
- 個人学期末レポートB(授業改善案レポート)(10%)
- →2010年1月18日までにRenandi掲示板で提出
- この授業で改善するべき点について、建設的な提案を行う。600文字程度。
- 授業への貢献となる質問・発言については成績に加味します。
【教科書・参考書など】
- 山内祐平(編)(2010). デジタル教材の教育学.東京大学出版会
- 以下のテーマ別参考文献。
担当テーマの人は必読です。Webページ以外は、準備状況報告の2週間前に配布します(テーマ1は1週間前)。- テーマ1: CAI
- 赤堀侃司(1993)学校教育とコンピュータ.NHKブックス pp.80-101
- 東京大学BEATセミナー:http://www.beatiii.jp/seminar/016.html
- テーマ2: LEGO Mindstorm
- ヤスミン・カファイ(2006). コンストラクショニズム.R. K. ソーヤー(編)森敏昭・秋田喜代美(監訳) 学習科学ハンドブック.培風館
- ミッチェル・レズニック教授(マサチューセッツ工科大学)による解説:http://robot.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/28/879.html
- 東京大学BEATセミナー:http://www.beatiii.jp/seminar/030.html
- テーマ3: マルチメディア教材
- 菊江 賢治・飯吉 透(1996) マルチメディアデザイン論—NHKスペシャル「驚異の小宇宙・人体」のCD-ROMはこうして生まれた.アスキー
- シナリオ制作(pp.34-45)教材の概説
- マルチメディアとは何か(pp.127-142)
- エデュテイメントとは何か(pp.143-151)
- ナビゲーションのデザイン(pp.173-187)
- ユーザを支援する知的ツールのデザイン(pp.189-222)
- 菊江 賢治・飯吉 透(1996) マルチメディアデザイン論—NHKスペシャル「驚異の小宇宙・人体」のCD-ROMはこうして生まれた.アスキー
- テーマ4: シリアスゲーム
- マーク・プレンスキー(著)藤本徹(訳)(2009). デジタルゲーム学習—シリアスゲーム導入・実践ガイド.東京電機大学出版局
- 第6章:デジタルゲーム学習—なぜ、どのように機能するのか
- マーク・プレンスキー(著)藤本徹(訳)(2009). デジタルゲーム学習—シリアスゲーム導入・実践ガイド.東京電機大学出版局
- テーマ1: CAI