【授業の目的】

高等学校において平成15年から普通教科「情報」が新設されました。

「情報」は計算機の機器操作指導を学習・指導する教科ではありません。

「情報」の主眼は、問題解決や情報活用、コミュニケーションの手段として情報技術を用いるとともに、それに必要となる情報の科学的理解や、情報化社会・情報倫理に関する理解を深めることにあります。専門教科「情報」はそれをさらに追究し、職業人として必要となる基本的な知識・技能の習得を行い、諸課題を合理的に解決する能力・態度を養うことを目指す教科です。

この授業では、こうした普通教科「情報」および専門教科「情報」の教科理念や目的を理解した上で、適切な指導方法を工夫して実施することができるようになることを目指します。具体的には、以下のような目標を設定します。

  • 高等学校の学習指導要領の総則、教科「情報」を必修として実施することの意義や役割について理解すること。
  • 教科「情報」における教育目標を達成するために必要となる授業設計、教材研究、学習評価等に関する知識、技能、考え方等を習得すること。
  • 教科「情報」の授業イメージや基本的な授業展開を理解すること。
  • 普通教科「情報」と専門教科「情報」の違い、および普通教科「情報」と他教科との関連等について理解すること。

【授業の進め方】

基本的に、講義による学習は記憶・定着・運用にはあまり向かない部分があるため、本科目では学生の主体的な学習をベースに進めます(教科「情報」では、知識社会において自律的・主体的な学習を行うような学習者の育成が目指されています)。したがって、履修学生による講義と質疑応答、それに対する講師のフォローアップで進みます。また、毎回授業の最初15分程度で、教科内容に関するマイクロティーチングを行います。教科内容知識について十分な予習が必要になります。

前期の後半では、具体的な教授方法について講義をしつつ、皆さん自身の学習指導案を個別に作成する作業を行います。その後、相互レビューを通じて、指導案を改善する視点や指導のこつを学習します。相互レビューでは以下の点に気をつけ、主体的・積極的に取り組むこと。

  • 相手を批判するだけでなく、改善策を含めて、建設的な意見をいうこと
  • 相手の問題だと思うことについては、忌憚なく指摘すること(真摯な議論をする)。
  • 相手の言うことには耳を傾け、自分のことについて見つめ直す心の広さを持つこと。

前期の授業予定

日時 内容
1 4/14 オリエンテーション

  • 履修希望票の記入を行います。また、授業の進め方について説明します。
2 4/21 教科「情報」とはどんな授業だったか?

  • グループに分かれて、教科「情報」で学んできたこと、学ぶべきことは何だったのかを振り返りながら検討をします。
3 4/28 教科「情報」の理念と設立の経緯

  • 教科「情報」の生まれた経緯、教科理念、目標などについて学習します
  • 新学習指導要領の教科内容について概説します
5/5 (特別研修期間でおやすみ)
4 5/12 「情報A」とはどんな授業か【発表担当:         】

  • 「情報A」の教科目標、教授内容、教育方法の特徴について理解します。
5 5/19 「情報B」とはどんな授業か【発表担当:         】

  • 「情報B」の教科目標、教授内容、教育方法の特徴について理解します。
6 5/26 「情報C」とはどんな授業か【発表担当:         】

  • 「情報C」の教科目標、教授内容、教育方法の特徴について理解します。
7 6/2 教室環境の設計

  • 「情報」の教員に求められるのは、情報の教科内容知識や教授スキルだけでなく、実習室の設計や管理などもあります。ここではそれについて学習します。
8 6/9 専門教科「情報」はどんな授業か【発表担当:         】

  • 普通教科「情報」に対して、高等専門学校などで教授学習する専門教科「情報」という科目があります。その内容と普通教科との違いについて理解します。
9 6/16 普通教科「情報」の教育課程編成と単元の展開

  • 前半45分で、各教科の内容について学んだことを、グループ毎にポスター発表します。
  • 後半で、各教科のカリキュラム編成と単元の展開のしかた、年間指導計画の書き方を学習します。
10 6/24 教科「情報」における指導方法(1)

  • 教科「情報」に特徴的な指導方法として、映像制作、プロジェクト学習やコラボレーション、総合的学習や他教科との連携などがあります。概説を行い、演習を開始します。

【提出物】情報A・B・C・専門教科情報の共通点と相違点をレポートする(A4×1枚)

6/30 【休講】(担当者海外出張による)→補講は、7/14(水)6時限目
11 7/7 教科「情報」における指導方法(2)

  • 教科「情報」に特徴的な指導方法として、映像制作、プロジェクト学習やコラボレーション、総合的学習や他教科との連携などがあります。演習を行った成果を発表します。
12 7/14 教科「情報」における指導方法(3)

  • 教科「情報」に特徴的な指導方法として、映像制作、プロジェクト学習やコラボレーション、総合的学習や他教科との連携などがあります。演習を行った成果を発表します。
13 7/14

(6限)

前期期末試験(45分、30題、持ち込み不可)

前期のまとめ

  • 前期で学習したことを総括するとともに、後期の展望について学習します。

【夏休みの宿題】年間指導計画の執筆

New Education Expoの見学課題

  • 情報教育、教育の情報化に関する最先端の知見や展示を見学します。

【提出物】見学レポート(A4で3枚程度、10月6日の授業で提出)

後期の授業予定

日時 内容
1 9/22 オリエンテーション

  • 授業の進め方に関する説明

学習指導案の相互レビュー大会(1)

  • 学習指導案を持参し、プレゼンテーション+質疑応答(ブラッシュアップコメント)する。

【宿題】学習指導案を修正して、9/29の授業で提出する.

2 9/29 「情報」の授業を体験する(2)

  • 情報社会に参画する態度に焦点化した学習内容について模擬授業を体験し,授業の構成や,展開上での工夫,教材研究について討論を行う.
3 10/6 学習指導案記述と教材研究のポイント

  • 学習指導案の書き方を再度確認すると共に、教材研究のしかたを学びます。また,教材観・指導観の書き方について学びます。

【宿題】任意の単元について教材研究を行い、適切な教材を見つけてくる。

4 10/13 板書と発問のしかた

  • 板書と発問のしかたについて学ぶとともに、ホワイトボードを使ってかんたんなマイクロティーチングの実習をします.

【宿題】1時限ぶんの学習指導案を、10/27までに執筆。5部印刷して持参。

5 10/20 板書と発問の練習セッション

  • 新しく作った学習指導案と教具,ホワイトボードを使って,簡単なマイクロティーチングをグループで行います.
6 10/27 教科「情報」における評価の仕方

  • 指導案を書いたり,授業を展開する上で必要な評価の観点の考え方,実際の評価の仕方について学びます
11/3 (文化の日で休講)
7 11/10 学習指導案の相互レビュー大会(2)

  • 学習指導案を持参し、プレゼンテーション+質疑応答(ブラッシュアップコメント)する。

【宿題】学習指導案を修正して、11/17以降に実施するマイクロティーチングの授業で提出する.

8 11/17 マイクロティーチング(1)

  • 修正した指導案をもとに、グループに分かれて、全員が、指導案の最初の部分を授業してみる
9 11/24 マイクロティーチング(2)

  • 修正した指導案をもとに、グループに分かれて、全員が、指導案の最初の部分を授業してみる
10 12/1 マイクロティーチング(3)

  • 修正した指導案をもとに、グループに分かれて、全員が、指導案の最初の部分を授業してみる
11 12/8 マイクロティーチング(4)

  • 修正した指導案をもとに、グループに分かれて、全員が、指導案の最初の部分を授業してみる
12 12/15 マイクロティーチング(5)

  • 修正した指導案をもとに、グループに分かれて、全員が、指導案の最初の部分を授業してみる
13 12/22 マイクロティーチング(6)

  • 修正した指導案をもとに、グループに分かれて、全員が、指導案の最初の部分を授業してみる
14 1/12 本授業のまとめ

  • 授業全体の振り返りを行う
15 2/28 【番外編】電気通信大学で模擬授業大会

【履修上の注意】

  • 「情報」の模擬授業は、PCを使った実習をする人もいますので、場所を情報科学センターの端末室(964教室)に変更することがあります。掲示板・ポータル・Renandiに注意すること。
  • この授業で取り組まれることのいくつかは、初めての挑戦的な試みです。よりよい取り組みにしていきたいと思いますので、その評価のため、皆さんには、いくつかアンケートなどにご協力をお願いします。

【成績評価の方法と基準】

  • 出席(各期4回以上欠席した場合は、成績評価の対象としません。1回欠席5点減点)
  • 前期学期末テスト25%(正答率60%以上が、単位取得の条件です)
  • 情報科の教科内容に関するプレゼンテーション(15%)
  • 情報A・B・C・専門教科情報の関係を整理するレポート(10%)
  • 年間指導計画(10%)
  • 教科内容に関連する専門知識に関するショートレクチャー(10%)
  • 学習指導案(15%)
  • マイクロティーチング(15%)
  • 相互レビューやマイクロティーチングにおける貢献(+α)

【教科書・参考書など】

  • 文部科学省 (編) 高等学校学習指導要領解説 情報編 開隆堂出版、1999/2005
  • 久野靖・辰己丈夫(監修)情報科教育法、オーム社、2008
  • 教科書(できるだけ早く、実習校で利用しているものを、自分で取り寄せてください)